みやめも2.0

思考のメモ書き

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核兵器の輸送は一笑に付すべき空論か。8/7予算委から

※2015/08/08に書いた引っ越し前の記事です

 

昨日の予算委員会で、民主党山井和則議員と安倍首相との間で気になるやり取りがあったので検討してみます。

前日の広島平和記念式典で首相が非核三原則に触れなかったことについて追及した山井氏は、続いて今回の安保法案では核兵器の輸送が法律上可能であるという話題に移りました。youtube等に動画があがっているので見ていただけるといいのですが、それぞれの主張を簡単にまとめると以下のようなやり取りになります。

山井「今回の安保法案では、法律上核兵器の輸送も可能であり、これは先日中谷防衛相なども認めたことだ。首相はどう認識しているか。」

安倍「政策的にありえない話についていちいち言及する必要はないだろう。非核三原則は国是であり、核兵器の輸送は120%ありえない。」

山井「ありえないというのであれば禁止する旨を法律に明記すべきだ。法律上可能である以上、あなたがやらなくても今後の政権がやるかもしれない。」

安倍「そもそも大前提としてありえないのだから、核兵器の輸送は選択肢として扱われない。選択肢として扱わないものを明記する必要はない。それはこれまでの周辺事態法でも同じだったではないか。」


まぁだいたいこんな感じでした。結構意訳してます。
さて、このやり取りで鍵を握るのは、首相の「そもそもありえない」という主張です。これが正しいか否かが、今回のやりとりでどちらに正当性が有るのかを左右します。選択肢、すなわちケースの想定は、考えようとすればいくらでもつくりだせます。法律は憲法に比べより具体的に明記する必要があるものですが、馬鹿げた選択肢までいちいち明記してもキリがないし意味も薄いわけです。
安倍首相は日本が核兵器を輸送するということを、この馬鹿げた選択肢にあたるとして明記の不必要性を訴えたわけですね。
では核兵器の輸送は本当に明記する必要のない馬鹿げた選択肢なのかを考えなければいけないわけですが、ここで押さえておかなくてはならないポイントがあります。


僕は今回の国会でのやり取りを聞いていて、上に赤字で示した部分を首相が発言した際、途端に山井氏の主張が苦しいものに感じられてきました。なぜならこれまでも全く明記していなかったという事実は、少なくとも今回のケースでは不必要性の裏付けとしてかなりの役割を果たすからです。僕は個人的に自衛隊の活動がどんどんフリーハンドになっていくことを遺憾に思っていますが、今回ばかりはその場で首相の言い分を否定できないなと思いました。
しかしこの時、なんだか怪しいとも思ったのです。こんな手前の条件で今更つまずくか?と。首相があまりにもハッキリと、それも繰り返し断言するものだからなるほどと思ってしまったけれど、なにかトリックがあるのでは?と違和感を覚えたわけです。だから現行の法と改正案を調べて比較してみました。

内閣官房HPの対照表周辺事態法をみてみます。すると…

スクリーンショット (3)

上の段が改正案、下の段が現行法です。
備考の欄を見てください。上は色々とスッキリしていますが、下に似たような文がありますね。しかし全く同じではありません。赤で線を引いた「弾薬を含む」という部分が消えています。これはどういうことか。

この記事をご覧ください。中谷防衛相は「武器」「弾薬」の定義について、ミサイルは「武器」ではなく「弾薬」にあたるとの見解を示しており、この理屈で言うと当然核兵器も弾薬に当たります。

つまり、「弾薬を含む」という文面によってこれまでの周辺事態法では核兵器の輸送をきちんと縛っていたんですね。なので、首相のいうようにこれまでもわざわざ法律で禁じていなかったかというと全くそんなことは無かったわけです。

そう考えると、「自民党は法改正で核兵器を輸送できるようにした」という、一見すると大袈裟な主張もあながち間違いではないことがわかります。これまでの核を巡る対米従属的な文脈を考えると、むしろかなり怪しいです。


これらを踏まえて、本当に法案に明記する必要がないのかどうか…結論を出すのはそれぞれですが、アメリカのケツを舐めて地位を確保するわけでもないわれわれ国民からすれば縛った方が安心なのは間違いないでしょうね。

安保法案は国を守る法案か?

※2015/8/04に書いた引っ越し前の記事です

 

ちょっと今更感がありますが、twitter見てるといまだに嘲笑系の連中が目についてしょうがないんでパッと引用できるように意見をまとめておきます。


政策の進め方とか、話すべき問題は色々とありますがとりあえず安保法案そのものの中身について考えておくべきでしょう。「なんか感じ悪いよね」で反対している連中を冷笑している人も、中身ちゃんと読んでるのか??ってことですよ。


●安保法案は抑止力になる?

パパッといきましょう。今回の安保法案ですが、抑止力になる部分があるとすれば「日米の同盟がより強固なものになるため、いざというときにアメリカに守ってもらえる可能性が上がる」この一点のみです。「今回の法案をきっかけに自衛隊の防衛力が強化される」みたいなことを言う人がいますが、そんなのは集団的自衛権じゃなくてもできることです。また対米従属路線で武装を強化するとなると、自国のみで防衛するのに最適化されていない歪な割り振りになってしまうということも押さえておくべきでしょう。(空母がないのに護衛艦は沢山ある現在の自衛隊などがその例)
ではアメリカに守ってもらうことについて考えます。日米安全保障条約をよく読んでいただければわかることですが、 米軍は日本の危機に際して無条件で介入してくるわけではありません。軍を出したくないときにアレコレと出動させない理屈をこねる余地は十分にあります。(ぜひ原文を読んでみてください)
さて今回の安保法案、首相をはじめとして推し進める側の人は中国脅威論を頻繁に唱えていますね。日本と中国で武力衝突が起きるきっかけがあるとすれば、挙げられるのは尖閣諸島問題でしょうか。
しかし、もしもアメリカと中国が簡単に戦争すると思っているなら、残念ながら脳内お花畑と言わざるを得ませんね。米中関係は、かつての米ソ関係とは事情が違うということを理解しなければなりません。今のアメリカと中国は、経済を中心に多様な面で相互依存関係にあります。確かにアメリカにとって中国は油断ならないイヤな国かもしれませんが、互いに重要な国であることもまた確かなのです。武力衝突なんて、できるかぎり避けたいに決まっています。
さぁ、これらを踏まえた上で、では日本が中国に攻撃されたとしましょう。安保法案であれだけ媚び売ったし、日米安保で守りに来てくれるよね?と米軍に要請を出します。さてアメリカ側、中国との武力衝突なんかしたくない。日米安保で約束してるけど、これこれこーいう理由でなかなか出せないってことにしちゃえば違反にはならないし、悪いけど……こんなシナリオになる可能性は、極めて高いと言えるでしょう。それは良くも悪くも自国の国益に基づいて行動するアメリカの体質を考えれば当然です。また日本とアメリカの同盟関係は決して対等ではありません。今回の法案で日米同盟が強化されるといっても、上で述べたシナリオを辿る可能性がほんの数%減るぐらいが関の山でしょう。自国における「平和のための法案」としてのメリットは、この程度のものなのです。

それから、当然他国を刺激してしまうという外交安全保障上のデメリットも考慮すべきでしょう。

したがって私の個人的な結論としては、

自国の安全保障という点で、安保法案はプラマイでマイナスである

一応結論まで指示したくないので個人的と書きましたが、まぁ普通に考えたらこうなるでしょう…
今回「明らかだ」として詳しくフォローしなかった根拠等については、自分で調べることをお勧めします。
 


また、「存立危機事態」については別の記事で触れようと思いますが、これの定義が曖昧なことについて、「定義を明確にしたら敵に手の内を明かすようなもので、抑止にならない」といった反論をよくみかけますが、本来抑止力とは「線引きを明確にして相手に計算可能性を与え、手を引かせる」というものです。手の内を明かして~という反論は首相や自民党関係者なんかも平気で言ってましたが、抑止論というものを全く理解していないと思われます。



今回はとりあえずこの辺で。

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